子どもが不登校になって、理由を聞いても「分からない」「別に」「何もない」としか言わない。何があったのかも分からないし、何を考えているのかも分からない。親としては、どう関わればいいのか悩んでしまいますよね。
特に中学生になると、小学生の頃よりも気持ちを言葉にしなくなります。親に本音を話さなくなる子も多いですし、本人の中でも気持ちが整理できていないことも珍しくありません。
ですから、「理由が分からない」というのは、特別おかしなことではありません。むしろ、不登校の中学生ではよくあることです。
ただ、ここで大事なのは、理由が分からない=何もできない、ではないということです。
不登校は、原因を一つ見つけてそれを取り除けば解決するような単純なものではなく、理由を探し続けるよりも、子どもの状態や家庭での関わり方を見直していくことが大切です。
この記事では、
⚫︎なぜ中学生は不登校の理由をうまく言えないのか
⚫︎「分からない」の裏で子どもは何を考えているのか
⚫︎理由が分からないときに親はどう関わればいいのか
について、実際の支援経験をもとにお伝えします。
不登校の中学生が「理由が分からない」のは珍しくない
子どもが不登校になると、親としてはまず「何があったの?」と理由を知りたくなると思います。理由が分からなければ、どう対応したらいいかも分からないですよね。
ですが、実際には、不登校の理由を本人がはっきり言えないケースはとても多いです。
たとえば、
⚫︎聞いても「分からない」と言う
⚫︎その日によって言うことが違う
⚫︎学校のことを話したがらない
⚫︎元気そうなのに行けない
⚫︎「行きたくない」とだけ言って理由を説明しない
こういったことは珍しくありません。
親からすると、「本当は何かあるんじゃないの?」「隠しているだけでは?」と思いたくなるところですが、必ずしもそうとは限りません。本人も、本当に分かっていないことがあるのです。
なぜなら、不登校というのは一つの強い原因だけで起こるとは限らず、いろいろなことが少しずつ積み重なって起きることが多いからです。
しかも中学生は、まだ自分の気持ちを客観的に整理して言葉にする力が十分ではありません。
大人でも、なんとなくしんどい時に「何がつらいの?」と聞かれて、すぐにうまく答えられないことがありますよね。そのような状況と似ています。子どもはそれがもっと難しいのです。
ですから、まず親が持っておきたい前提は、「理由が分からないのはよくあること」「言わないのではなく、言えないことも多い」ということです。
子どもは本当に何も考えていないのか
「分からない」と言われると、親としては、考えていないようにも見えてしまうかもしれませんが、実際はその逆で考えすぎて思考停止状態になっている子も多いです。
たとえば何も話さなくても、頭の中ではこんなことが起きています。
「学校行きたくないな」
↓
「でも行かなきゃいけないよな」
↓
「なんでこんなにしんどいんだろう」
↓
「別にいじめられてるわけでもないし…」
↓
「でも行きたくない」
↓
「行きたくないって言ったら怒られるかな」
↓
「なんて言えば分かってもらえるんだろう」
↓
「もういいや。分からないって言おう」
(一例です)
このように、気持ちが整理できないまま、考えて考えて、最後は言葉にならず止まってしまうことがあります。
特に不登校の子には、もともと
⚫︎真面目
⚫︎考えすぎる
⚫︎完璧主義
⚫︎白黒思考
⚫︎人の反応を気にしやすい
といった傾向が見られることも少なくありません。
こういうお子さんは、単純に「嫌だから行かない」と割り切れません。「行かなくちゃ」「でも無理」「いや甘えかな」「どうしたらいいの」と頭の中で考えすぎてしまうのです。
なので「分からない」は、適当に言っている言葉というより、気持ちが複雑すぎて自分でも整理できない状態と見た方が実態に近いことがあります。
理由が分からない時の対処法:理由を聞いても鵜呑みにしない
では、理由は聞かない方がいいのかというと聞くこと自体が悪いわけではありません。ただし、聞けたとしても、それをそのまま不登校の原因だと思い込まないことが大事です。
たとえば子どもが、
⚫︎友達が嫌だった
⚫︎勉強が分からない
⚫︎朝起きられない
⚫︎先生が苦手
⚫︎学校に行く意味が分からない
と言ったとします。
これらはもちろん、本人にとっては本当の気持ちですから軽く扱っていいわけではありません。
ただ、それが根本的な理由のすべてとは限らないのです。
その時の気分で一番言いやすいことを言っている場合もありますし、自分の中で説明しやすい理由を後からつけている場合もあります。
また、昨日は「友達」、今日は「勉強」、明日は「眠い」と理由が変わることもあります。
そうなると親は、「言ってることが変わる」「結局どれが本当なの?」と混乱しますよね。でも、子どもからすれば嘘をついているつもりではなく、その時々で一番しっくりくる言葉を出しているだけ、ということもあるのです。
だから大切なのは、聞いてもいいけれど、鵜呑みにしないことです。
「そうなんだね」と受け止めつつ、「でも本質はもう少し別のところにあるかもしれない」という視点も持っておくことが必要です。
不登校の理由は「最後の一滴」であることが多い
不登校の理由を考える時、「コップの水」のようなものだと例えられます。
子どもは学校生活の中で、日々いろんなことを経験して感じています。
⚫︎友達との距離感
⚫︎勉強への不安
⚫︎周りと比べてしまう気持ち など
こういうものが少しずつコップに溜まっていき、最後に何か一つの出来事が起きた時に、水があふれて学校に行けなくなる。
この時、子どもが話している理由は、その最後の一滴であることが多いと考えられます。
たとえば「友達に嫌なことを言われた」がきっかけだったとしても、それだけで不登校になるとは限りません。そこまでの間に、コップの水がいっぱいになっていた背景を考えます。
ですから、最後の一滴だけを見て「じゃあクラス替えすれば大丈夫」「先生が変われば大丈夫」と考えてもうまくいかないことがあります。
お子さんが言っている「きっかけとなった出来事」を軽視していいわけではありませんが、本当に見なければいけないのは、
そこまでコップがいっぱいになっていた背景の方です。
「理由が分からないと解決できない」は本当か
親としては、「理由が分からないと対策できないんじゃないか」と思いますよね。ただ、不登校は必ずしもそうではないんです。
たとえば風邪も同じで、原因がウイルスだと分かっていたとしても、そのウイルス自体をなくすことはできませんし、研究者みたいに細かく知る必要もありませんよね。結局やることは、体を休めたり、免疫力を上げたりして、風邪を引きにくい状態にすることです。
不登校もこれに近いところがあります。理由を細かく突き詰めることよりも、今お子さんがどんな状態なのか、どうすれば立て直せる状態にできるのか、そっちの方が大事だったりします。
理由が一つ分かったとしても、それだけで動けるようになるとは限りません。でも、状態が整ってくると、理由がはっきり分からなくても動き出すことはあります。
実際、Go Todayでも「最後まで理由はよく分からなかった」というケースはありますが、それでも多くのお子さんが自分から学校に行けるようになっています。なので、不登校は「理由が分かってから解決するもの」ではないということです。
Go Todayの復学支援
私たちは、「親が変われば、子は変わる」という考えを大切にしながら復学支援を行っています。
不登校の理由がはっきり分からなくても、親子の関わり方や家庭内の空気が変わることで、子どもが少しずつ本来の力を取り戻していくことはあります。
もちろん、ただ見守ればいいということではありません。
甘やかすことでも、放っておくことでもありません。
子どもの自立心や協調性が育つ関わり方を親御さんに身につけていただきながら、必要に応じて第三者がきっかけを作り、再登校から継続登校までを支えていく。
それが私たちの考える復学支援です。
理由が分からないから手が打てないのではなく、理由が分からない時こそ、親の関わり方と家庭の土台を見直す意味があります。


