保健室や別室登校から教室に戻れるようになるのは半分以下
「教室に入れないのなら、保健室や別室登校から徐々に入れるようにしてはいかがですか?」
と提案をされて、「徐々に教室へ戻って毎日教室へ継続登校できるようになる」と本当に思われていますか?
一見、「保健室や別室登校から徐々に段階を踏んで教室に戻る」ということは筋が通っているように思いますが、実はとても危険なことです。
実際に平成28年度の保健室利用状況に関する調査報告書によると、保健室登校をしていた生徒で1年間で教室復帰ありの割合は小学生44.1%、中学生32.3%になっています。
中学生になると、保健室登校していても7割近くは教室へは戻らないまま卒業していることになります。
調査報告書には詳細は出ていませんでしたが、保健室登校していた生徒で「教室へ毎日休まずに継続登校」できている割合になるともっと少ないと思います。
保健室や別室登校を続けている子どもは、先生からその状況が受け入れられているという安心感から保健室登校・別室登校を好むようになります。
そして教室に戻ることに不安が生じるため、理由をつけて逃れようとするのです。
- 教室での様子をもっと調べてからにする
- もっと気持ちに余裕がある時にする
- 参加しやすい授業の時にする
- 勉強が追いついてからにする
- 学期の途中から、学年の途中から入りづらいから
- キリの良いタイミングでひと段落してから
など、確かに、クラスの様子を把握したり、勉強の遅れを取り戻すことなど不安を取り除くことは大事ですが、不安を完全に取り払うことはできません。
- 教室に行って何か言われるのは不安
- 教室に入ってうまくコミュニケーション取れるのか不安
- 教室に入って勉強についていけるか不安
など、不安から逃れるために、いかにも筋の通ったような言い訳を作っているとしたら、とても危険です。
なぜなら、逃れたい気持ちを正当化する癖をつけると、これからも何か嫌なことがあると、理由をつけてやらなくなり、今後も本当にやらなければいけないことも、嫌なことがあったら言い訳して逃げてしまう習慣ができてしまうからです。
そして、それを学校の先生から「無理しなくて良い」と認められると「嫌なことがあったら無理しなくて良いんだ」と勘違いします。
子ども自身に寄り添っても、子どもの行動(不登校)には寄り添ってはいけない
中途半端に保健室登校や別室登校するくらいなら、「教室に行けないなら保健室や別室も行かない」ときっぱり言える子の方が教室に戻りやすいですし、「保健室や別室登校できるなら教室に通える」と考える親御さんの方がお子さんを教室に戻しやすいです。
親御さんに考えていただきたいのは、「保健室や別室登校をして安心することではなく、子どもに不安を乗り越える気持ちを持たせてあげ、みんなと同じ教室で安心して学校生活を送れるようにしてあげること」です。
苦しんでいるわが子を守ることができるのは、担任やスクールカウンセラーではなく、子どもを産み育てた親御さんしかいません。
まずは、子どもよりも親が変わる勇気を持つことです。
お子さんの不登校を「保健室登校しているから」「別室登校しているから」と先のばしにせずに、1日でも早く教室へ戻し、親子ともに、明るい未来を取り戻しましょう。